この記事の結論

協働ロボットは主要メーカー各社が本体価格を公表していません。ISO 10218・ISO/TS 15066による安全規格、リース契約の仕組み、補助金カタログ登録の実態をメーカー公式サイトと公的ポータルの一次情報だけで解説します。

「協働ロボット リース」で検索する方の多くは、費用の相場だけでなく「安全柵は本当に要らないのか」「補助金は使えるのか」「なぜどこにも価格が書いていないのか」を知りたいはずです。本記事は、メーカー各社の公式サイトと公的機関のポータルサイトを実際に確認した結果だけをもとに、出典のない金額の断定を一切行わずに解説します。

本記事は2026年9月16日にメーカー公式サイト・公的補助金ポータルを直接確認して作成しています。本体価格・リース月額の相場(「月額3〜15万円」等)はいずれの一次情報でも確認できなかったため記載していません。金額の目安が必要な場合は、記事内のリンクから各社に直接お問い合わせください。

協働ロボットとは|定義と安全規格

協働ロボット(コボット)とは、人と同じ作業エリアで動作することを前提に設計された産業用ロボットの一群です。国際規格では、ロボット本体の設計・製造要件を定めたISO 10218-1:2011(本体)・ISO 10218-2:2011(システム)と、協働運転時の力・圧力の許容値などを具体的に定めた技術仕様書ISO/TS 15066:2016が中核になります。デンソーウェーブのCOBOTTA製品ページ(標準版)でも、適合規格として「ISO 10218-1:2011」「ISO/TS 15066:2016」「ISO 13849-1:2023 PL d, Cat.3」が明記されています。

労働安全衛生規則第150条の4と安全柵の原則

日本国内では、労働安全衛生規則第150条の4が「産業用ロボットを運転する場合において、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない」と定めています。つまり法律上の原則は今も「安全柵の設置」であり、協働ロボットだからといって自動的に柵が不要になるわけではありません。

安全柵なしで運転できる2つのルート

安全柵を設けずに産業用ロボットを運転できる法的な根拠は、成立の経緯が異なる2つのルートに整理できます。いずれも厚生労働省(旧労働省)の通達として公開されています。

ルート根拠・成立年要点
駆動用原動機80W以下の機械の除外 昭和58年(1983年)基発第339号 労働安全衛生規則第36条第31号の「産業用ロボット」の定義そのものから、駆動用原動機の定格出力が80W以下の機械を除外する運用。協働ロボットという概念が生まれる以前からある、機械の出力による線引き。
リスクアセスメント・ISO 10218適合ルート 平成25年(2013年)基発1224第2号 労働安全衛生法第28条の2に基づくリスクアセスメントを実施し、接触により危険が生ずるおそれが無くなったと評価できるとき、かつロボットがISO 10218-1:2011・ISO 10218-2:2011に適合し使用条件どおりに使われているときは、第150条の4の「危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しないと整理できるとした通達。現在「協働ロボット」として販売される機種の多くはこちらのルートを前提にしている。

出典: 厚生労働省労働基準局長通達 基発第339号(昭和58年6月28日)・基発1224第2号(平成25年12月24日)。いずれも安全衛生情報センター(jaish.gr.jp)で全文を確認(2026年9月16日)。出典URLは本記事末尾の出典一覧を参照してください。

どちらのルートに該当する場合でも、安全柵の要否は機種のカタログスペックだけで決まるものではなく、設置環境・エンドエフェクタの形状・作業内容ごとのリスクアセスメントの結果によって最終的に判断されます。導入時はSIer(システムインテグレータ)とともにリスクアセスメントの実施と記録を必ず行ってください。

リース契約の仕組み|購入・レンタル・RaaSとの違い

協働ロボットの導入形態は、大きく「購入」「リース」「レンタル」「RaaS(Robot as a Service)」の4つに分かれます。月額や料率は提供会社ごとの個別契約事項であり一般化できないため、ここでは契約構造の違いに絞って整理します。

契約形態物件の所有権契約期間の目安中途解約
購入自社制限なし(資産として保有)該当なし
ファイナンス・リースリース会社中長期(複数年単位)で契約原則不可(中途解約時は残債精算が一般的)
レンタルレンタル会社短期(月単位)から利用可能な場合が多い比較的柔軟な場合が多い
RaaS提供会社月次サブスクリプション型が多い提供会社のサービス規約による

契約期間・解約条件は提供会社・契約内容によって個別に異なります。実際の条件は必ず契約書・見積書で確認してください。

メーカー公式が示す契約形態の実例

デンソーウェーブはCOBOTTA製品ページで「COBOTTA価格シミュレーション」という見積りフォームを公式に提供しており、その中で契約形態として「一括」「割賦・リース」を選択する項目が設けられています。同ページには「『COBOTTA契約申込み』からお申込みした場合はみずほリース株式会社との契約となります」という注記があり、メーカー自身が特定のリース会社と連携してリース契約を案内している実例として参考になります。固定の月額リース料はこのフォーム上には表示されず、条件入力後に個別見積りとなる仕組みです。

リースと購入・レンタルの違い、審査や会計処理の詳しい解説は下記の記事もあわせてご覧ください。

協働ロボットの価格は非公表|メーカー公式サイトを直接確認した結果

「協働ロボット 価格」「リース 月額」を調べても具体的な数字が出てこないのは、そもそもメーカー各社が個別見積り制を取っているためです。主要メーカーの公式サイトを2026年9月16日に直接確認した結果は次のとおりです。

メーカー確認したページ価格表示
Universal Robots(UR)製品ページ(UR3e-540等)本体価格の記載なし。「価格を問い合わせる」ボタンのみ
ファナック協働ロボット製品ページ本体価格の記載なし
安川電機人協働ロボット特設ページ・機種別仕様ページ(GP7・HC10DTP等)本体価格の記載なし
デンソーウェーブCOBOTTA製品ページ本体価格の記載なし。ただし公式が案内する外部ECサイト「JSaaSストア」でCOBOTTA本体の通常価格(税抜2,000,000円から)と補助金適用後価格(500,000円から)を確認

出典URL・確認日は本記事末尾の出典一覧を参照してください。COBOTTA以外の機種・上位モデル(COBOTTA PRO等)はJSaaSストアでの価格掲載を確認できませんでした。

COBOTTAの例外はありますが、大半の協働ロボットは「本体価格・SIerによるシステム構築費・エンドエフェクタ費用・リース料率」が個別見積りで、公式サイトに定価表は存在しません。相見積りを取り、複数のメーカー・SIerを比較することが結果的に最も確実な価格の調べ方です。機種別の詳しいスペック比較は下記の記事にまとめています。

補助金のカタログ登録とファイナンス・リース対象化の実態

協働ロボットの導入で最も検索されている補助金の一つが、中小企業庁「中小企業省力化投資補助金」です。この補助金には、あらかじめ登録された製品カタログから選ぶ「カタログ注文型」と、個別設計のシステムを対象とする「一般型」があります。

カタログ注文型の補助率・補助上限額(2026年3月19日制度改定後)

従業員数補助上限額(通常)賃上げ目標達成時
5名以下200万円300万円
6〜20名500万円750万円
21名以上1,000万円1,500万円

補助率は1/2以下。出典: 中小企業省力化投資補助金公式ポータル「カタログ注文型とは」(2026年9月16日確認)。2026年3月19日より前の申請には異なる基準が適用されるため、申請時期によって数値が変わる点に注意してください。

協働ロボット単体のカタログ登録カテゴリは存在しない(ライブポータル実査)

製品カタログの登録件数を示す公式CSV(list.csv)は更新が止まっており実態と乖離するおそれがあるため、本記事では2026年9月16日に公式の検索ポータルへ実際にアクセスして確認しました。製品カテゴリの選択肢に「協働ロボット」という単体カテゴリは存在せず、「協働ロボット」の名を含むカテゴリは「精密板金向けTIG溶接協働ロボットシステム」の1つだけでした。このカテゴリで検索すると、登録製品数は2件(製品名「TIG溶接支援協働ロボットシステム」、製造事業者はいずれも株式会社ファブエース、省力化製品番号PD-00001544・PD-00001572)です。

つまり、汎用的な6軸協働ロボットアームを単体でカタログ注文型の対象にすることはできず、溶接・搬送などSIerが特定用途向けに構築し、かつそのシステムカテゴリ自体がカタログに登録されている場合に限って対象になり得ます。カテゴリの一覧・追加状況は随時更新されるため、導入を検討する際は必ず最新の公式カタログで確認してください。

ファイナンス・リース取引は利用できるが条件がある

カタログ注文型は、購入だけでなくファイナンス・リース取引を利用した導入にも対応しています。中小企業等・販売事業者・対象リース会社の共同申請が前提で、主な条件は次のとおりです。

  • リース料軽減計算書を提出すること(リース事業協会の手引きに基づき作成)
  • 補助対象は省力化製品の購入費用相当分のみで、リース料そのものは補助対象外
  • リース期間を財産処分制限期間以上に設定すること
  • セール&リースバック取引・転リース取引ではないこと
  • 割賦契約ではないこと(割賦は対象外)

条件を満たせば、中小企業等が対象リース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額される仕組みです。国の補助金全体の申請フローや、ものづくり補助金・事業再構築補助金など他制度との比較は下記の記事にまとめています。

よくある質問

協働ロボットはISO 10218-1・ISO 10218-2、ISO/TS 15066が定める安全要件を満たすよう設計され、リスクアセスメントの結果によっては安全柵なしで人と同じ空間で稼働できる点が従来の産業用ロボットと異なります。日本国内では労働安全衛生規則第150条の4の解釈として、2013年の通達(基発1224第2号)でリスクアセスメントとISO 10218適合を条件に安全柵を省略できる運用が示されています。

ユニバーサルロボット、ファナック、安川電機の製品ページを確認した限り、本体価格・リース月額とも公表されていません。いずれも「価格を問い合わせる」といった見積り依頼の導線のみが用意されています。デンソーウェーブのCOBOTTAのみ、公式が案内する外部ECサイト「JSaaSストア」で本体の通常価格(税抜2,000,000円から)が公開されていますが、これは本体価格であり月額リース料ではありません。

汎用的な協働ロボットアーム単体を対象とするカタログカテゴリは存在しません。2026年9月16日にライブポータルで実検索したところ、「協働ロボット」の名を含むカテゴリは「精密板金向けTIG溶接協働ロボットシステム」のみで、登録製品は2件(いずれも株式会社ファブエース製)でした。溶接・搬送などSIerが構築した専用システムの一部として組み込まれた場合に限り対象になり得ます。

中小企業省力化投資補助金のカタログ注文型は、ファイナンス・リース取引を利用した導入に対応しています。ただし割賦契約は対象外、リース料自体は補助対象外(対象は製品購入費用相当分のみ)、リース会社を含めた共同申請が必要など複数の条件があります。詳細は各補助金の公式サイトで必ず確認してください。

主な違いは契約期間と所有権の扱いです。リースはリース会社が所有する物件を中長期で借り受ける契約、レンタルは短期利用を前提にレンタル会社が保有する在庫を貸し出す契約、RaaSは保守や運用を含めた月額サービスとして提供されるのが一般的です。料率や月額は提供会社ごとの個別契約事項であり、本記事では金額を断定していません。

労働安全衛生規則第150条の4は、接触により労働者に危険が生ずるおそれがあるときに安全柵等の措置を義務づけています。2013年の厚生労働省通達により、リスクアセスメントを実施しISO 10218-1・10218-2に適合したロボットを使用条件どおりに使う場合は「危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しないと評価できるとされました。柵の要否は機種の性能だけでなく、設置環境ごとのリスクアセスメントで判断する必要があります。

まとめ

  • 協働ロボットの安全性の根拠はISO 10218・ISO/TS 15066という国際規格と、労働安全衛生規則第150条の4の解釈通達(1983年の80W以下除外・2013年のリスクアセスメント/ISO10218適合ルート)の2系統。安全柵の要否は最終的に現場ごとのリスクアセスメントで判断する
  • 本体価格・リース月額はUR・ファナック・安川電機のいずれも非公表。COBOTTAのみ外部ECサイトで本体の参考価格が公開されている例外
  • 中小企業省力化投資補助金のカタログ注文型は、協働ロボット単体では対象カテゴリがなく、特定用途システムの一部として登録されている場合に限られる(2026年9月16日時点で2件)
  • カタログ注文型はファイナンス・リース取引にも対応しているが、割賦は対象外・リース料自体は補助対象外など条件がある
  • 正確な価格・補助対象の可否は、必ずメーカー・SIer・補助金事務局の公式窓口に個別で確認する

本記事の監修:齊木祐介(株式会社ASI 代表取締役)

AI・ロボティクスの導入支援やリース活用支援など複数事業を統括し、実務で得た知見をもとに本サイトの情報を監修しています(運営:株式会社ASI)。

出典・参考情報

  • ユニバーサルロボット「製品一覧」「UR3e-540」ほか各製品ページ: universal-robots.com/ja/products/(2026年9月16日確認)
  • ファナック 協働ロボット製品ページ: fanuc.co.jp(2026年9月16日確認)
  • 安川電機「人協働ロボット」特設ページ: yaskawa.co.jp(2026年9月16日確認)
  • 安川電機 e-Mechatronics 製品仕様ページ(MOTOMAN-GP7): e-mechatronics.com(2026年9月16日確認)
  • デンソーウェーブ COBOTTA製品ページ(適合規格・JSaaSストア案内): denso-wave.com(2026年9月16日確認)
  • デンソーウェーブ COBOTTA価格シミュレーション(契約形態の選択肢): denso-wave.com(2026年9月16日確認)
  • JSaaSストア COBOTTA商品ページ(価格): jsaas.jp(2026年9月16日確認)
  • 厚生労働省労働基準局長通達 基発第339号(昭和58年6月28日・80W以下除外): jaish.gr.jp(2026年9月16日確認)
  • 厚生労働省労働基準局長通達 基発1224第2号(平成25年12月24日・リスクアセスメント/ISO10218適合ルート): jaish.gr.jp(2026年9月16日確認)
  • 厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通達 基安安発1224第1号(平成25年12月24日): jaish.gr.jp(2026年9月16日確認)
  • 労働安全衛生規則 第150条の3〜5(産業用ロボット): jaish.gr.jp(2026年9月16日確認)
  • 中小企業省力化投資補助金 公式ポータル「カタログ注文型とは」(補助率・補助上限額): shoryokuka.smrj.go.jp(2026年9月16日確認)
  • 中小企業省力化投資補助金 公式ポータル「ファイナンス・リース取引」: shoryokuka.smrj.go.jp(2026年9月16日確認)
  • 中小企業省力化投資補助金 製品カテゴリ検索(ライブポータル・協働ロボット関連カテゴリの登録件数実査): portal.shoryokuka.smrj.go.jp(2026年9月16日確認)

最終更新日: 2026年9月16日。制度・価格情報は変更される場合があります。必ず各公式サイトで最新情報を確認してください。