この記事の結論
Boston Dynamics Spotの価格・リース月額は、米国公式サイトも国内唯一の正規パートナー東北エンタープライズも非公開です。公式FAQの「800万円モデルは廃版」「レンタル非対応」という事実と、購入+補助金という現実的な調達ルートを出典付きで整理しました。
「Boston Dynamics Spot をリースしたいが月額いくらか分からない」という検索でこのページに来た方に、先に結論をお伝えします。2026年9月時点で、Spotの月額リース料を公式に示した一次情報は見つかりませんでした。本記事では、価格が非公開である事実そのものと、その裏付けとなる公式情報、そして「それでも導入したい」場合に実際に取れる調達ルートを、出典付きで整理します。
Boston Dynamics Spot とは|基本仕様
Spot は、米国Boston Dynamics社が開発した四足歩行ロボットです。日本国内では、福島県いわき市に本社を置く株式会社東北エンタープライズ(TECO)がBoston Dynamics社とパートナー契約を締結し、販売・サービス提供を行っています。TECO公式サイトは自社を「Boston Dynamicsの公式パートナー企業」と明記しています。
基本仕様はTECO公式サイトの製品情報ページと、米国Boston Dynamics公式サイトの両方で確認できます(数値はいずれも価格を含みません)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 全長 | 1,100mm(43.3インチ) |
| 幅 | 500mm(19.7インチ) |
| 高さ(歩行時デフォルト) | 610mm(24.0インチ) |
| 高さ(歩行時最大/最小) | 700mm/520mm |
| 質量(バッテリー込み) | 32.7kg(TECO公式)/33.8kg(Boston Dynamics米国公式) |
| 最大速度 | 1.6m/秒 |
| 最大登坂角度 | ±30° |
| 最大ステップ高さ | 300mm |
| 防塵防水性能 | IP54 |
| 動作温度 | −20℃~55℃ |
| バッテリー容量/平均稼働時間 | 564Wh/約90分(待機時間 約180分、充電時間 約60分) |
| ペイロード最大重量 | 14kg(取付エリア 850×240×270mm) |
出典:東北エンタープライズ公式「製品情報」spot-teco.jp/spec/、Boston Dynamics公式「Spot」製品ページbostondynamics.com/products/spot/(いずれも2026年9月16日確認)。質量はTECO公式32.7kgと米国公式33.8kgで差異あり、全長は米国公式サイトのHTML内に「110mm」という表記もありましたがTECO公式の1,100mmと桁が異なり、米国側の入力誤りとみられるため本記事では1,100mmを採用しています。
制御はタブレットからの現場操作、またはオプションのクラウド管理ソフト「Orbit(旧Scout)」によるブラウザ経由の遠隔操作・複数機管理が可能です。ペイロードレール上には、ドア開閉や物の把持ができる「Spot Arm」、詳細検査用の「Spot CAM+IR」、自律走行の精度を強化する「Spot EAP2」など、TECO公式サイトに掲載されたオプションを追加できますが、いずれのオプションについても価格は公表されていません。
結論:Spot の「月額リース相場」は公式には存在しない
価格は米国本社・国内正規パートナーのいずれも非公開です。Boston Dynamics公式サイトのSpot製品ページは、仕様表の下に「Contact Sales」ボタンがあるのみで、本体・オプションいずれの価格も掲載していません。日本国内で唯一の公式パートナーであるTECOの公式FAQでも「Spotの価格はいくらですか?」という質問に対し、金額を示さず「ご使用用途に応じてオプション製品をご提案しますので、まずは一度ご連絡ください」と回答しており、個別見積りである旨が明記されています。
さらに重要なのは、TECO公式FAQが次のように明言している点です。
「一部ネットに掲載されている800万のモデルは既に廃版になっております。ご使用用途に応じてオプション製品をご提案しますので、まずは一度ご連絡ください。」(spot-teco.jp/faq/、2026年9月16日確認)
つまり、ネット上に出回る具体的な金額は、①現行モデルの公式価格ではなく、②既に廃版になった旧モデルの情報である可能性が高いということです。「月額◯万円で導入できる」という数字を前提に予算を組むのはリスクがあります。本記事では、この事実を前提に、実際に確認できる調達方法だけを紹介します。
日本国内の正規窓口|東北エンタープライズへの相談・デモ・トレーニング
Boston Dynamics製品は、世界各国のパートナー企業経由でのみ購入できます。TECO公式FAQも「Boston Dynamicsの製品は東北エンタープライズからしか購入できませんか?」という質問に対し、「パートナー企業からの購入のみが認められている製品となります」と回答しています。日本国内では、TECOの公式プレスリリースにおいて自社が「Boston Dynamics社の国内唯一のパートナー企業である」と明記されており、2026年9月16日時点で確認できる国内の正規購入窓口はTECO1社です。
実機デモとトレーニング
購入前に実機を確認したい場合、TECO公式FAQには「弊社福島県いわき本社にてデモンストレーションを行うことが可能です」とあり、展示会・イベントへの出展も行っています。納入時には「弊社の技術者が1~3日程度のトレーニングを実施」し、トレーニングのみの依頼も受け付けています。操作自体はタブレットの画面を見ながら行える設計とされています。
スターターキットの内容
購入時に付属するスターターキットの内容もTECO公式FAQに記載があります。
- バッテリー2個
- バッテリー用充電器1個
- キャリブレーションボード1個
- 運搬用ケース
- Spot CARE(保証プログラム)1年分
Spot CAREはハードウェア修理・部品代・送料等をカバーする保証プログラムで、未加入の場合は故障時にBoston Dynamicsサポートチームによる修理前検査を経たうえで、修理を実施する場合は検査費用が免除され修理費用・部品代・人件費・返送料を、修理を希望しない場合は検査費用と返送料を負担する仕組みです(TECO公式FAQ)。いずれも金額は公表されていません。
「レンタル」「リース」という調達方法は実際に使えるのか
検索語には「リース」とありますが、まず押さえておきたいのは、TECOはSpotのレンタルに対応していないという事実です。公式FAQは「Spotはレンタルできますか?」という質問に対し、「レンタルの対応はしておりません。現地でのPoCをご希望される場合は一度お問い合わせください」と回答しています。つまり、短期間だけ試したい場合の選択肢は「レンタル契約」ではなく「個別問い合わせによるPoC(概念実証)相談」です。
「リース」と「レンタル」の違い(契約期間・所有権・会計処理の違い)については、本サイトのロボットリースとレンタルの違いで解説していますが、Spotに関してはそもそも公式チャネルでの月額貸出(レンタル・オペレーティングリース)自体が確認できていないため、「リース会社を比較して月額を安くする」という一般的なロボットリースの検討フローがそのまま当てはまりません。
| 調達方法 | Spotでの現状(2026年9月16日確認) |
|---|---|
| 購入 | TECO経由の個別見積り。価格非公開 |
| レンタル(月額貸出) | TECO公式FAQで「対応しておりません」と明記 |
| PoC(現地実証) | TECOに個別問い合わせで相談可能(公式FAQ) |
| ファイナンス・リース | 一般的な調達手法としては存在するが、Spot向けの公式なリース商品・月額料金の公表は確認できず |
出典:東北エンタープライズ公式FAQ spot-teco.jp/faq/(2026年9月16日確認)
購入+補助金という現実的な調達ルート
「リースで安く」が難しい以上、現実的な調達ルートは「購入+補助金の活用」になります。ただし、ここでも公式情報を正直に確認しておく必要があります。
省力化投資補助金「カタログ注文型」:ファイナンス・リースは対象拡大したが、Spotは未登録
中小企業省力化投資補助金には「カタログ注文型」という区分があり、公式サイト「カタログ注文型とは」は「補助対象としてカタログに登録された製品等」に限定されると明記しています。この制度では公式の制度更新履歴によれば2024年12月12日に「ファイナンス・リース取引が補助対象となりました」という制度更新が行われており、ファイナンスリースという調達手法自体は補助金と組み合わせられる時代になっています。
しかし、本記事作成にあたり同制度の製品カタログデータ(list.csv)を実際に取得して検索した結果、Boston Dynamics・Spot・東北エンタープライズのいずれも登録が確認できませんでした。「四足歩行」「歩行型」に該当するカテゴリ名も見当たりません。つまり、ファイナンス・リースが補助対象になったという事実自体は本当ですが、その対象はカタログ登録製品に限られ、2026年9月16日時点でSpotはその対象に含まれていません。
ものづくり補助金:「新製品・新サービス開発」が前提
もう一つの選択肢はものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)です。第23次締切分の公募要領原文には、主力枠である「製品・サービス高付加価値化枠」について次の記載があります。
「本補助事業では、単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しません。」
つまり、Spotを検査・巡回業務にそのまま導入するだけでは対象外になる可能性があります。Spotの導入と併せて、自社で新しいサービス・データ活用の仕組みを開発する事業計画が必要です。補助上限額・補助率は次のとおりです(製品・サービス高付加価値化枠)。
| 従業員数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 1〜5人 | 750万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 |
| 21〜50人 | 1,500万円 |
| 51人以上 | 2,500万円 |
補助率は中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者2/3。補助下限額100万円。補助事業実施期間は交付決定日から10か月(採択発表日から12か月後まで)。出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金「公募要領(23次締切分)」PDF(2026年9月16日取得・pdftotextで確認)。
公募要領には「発注先(海外企業からの調達を行う場合も含む)の選定にあたって、入手価格の妥当性を証明できるよう見積書を取得する必要があります」という記載もあり、輸入品であることだけを理由に対象から除外する規定は確認できませんでした。単価50万円(税抜)以上の物件は原則2者以上からの相見積りが必要です。補助金全般の制度比較・他の補助金メニューはロボット導入で使える補助金・助成金一覧で確認できます。実際に自社の事業計画がどの枠に該当するかは、補助金事務局またはTECOへの相談時に個別に確認することをおすすめします。
国内導入事例|キリンビール北海道千歳工場
Spotの国内導入事例として、TECO公式サイトが実名・日付付きで公開しているのが、キリンビール株式会社の北海道千歳工場(北海道千歳市上長都949-1)の事例です。
- 運用開始日:2025年8月
- 導入機体:米国Boston Dynamics社製 四足歩行ロボット「Spot」(愛称:Buddy)
- 点検対象:醸造・包装工場の主要設備・メーター類等(約100箇所・5つの巡回ルート)
- 搭載センサー:高解像度ズームカメラ、熱画像カメラ、音響カメラ
- 連携システム:Spot標準の管理プラットフォーム「Orbit」、株式会社IIUの設備保全管理システム「AIMOS-DX」
- 共同開発・導入支援:株式会社東北エンタープライズ、株式会社IIU
- 目標:年間約650時間の巡回作業時間削減
プレスリリースによれば、導入プロセスでは「まずは実際の動きを見ることが重要」としてTECOの協力で実機デモを実施し、全社を巻き込んでスマート化への機運を作ったことが成功要因として紹介されています。愛称「Buddy」は従業員投票で決定されたとのことです。プレスリリース自体の日付は2026年9月9日で、比較的新しい事例です。
四足歩行ロボットの他の選択肢
Spotの価格が非公開である以上、「まず価格帯を絞りたい」という場合は、他メーカーの四足歩行ロボットも比較検討先になります。中国Unitree Robotics製の産業向け「B2」や、研究・教育向けとしても使われる「Go2」などが代表例です。各機種の価格・仕様・国内取扱窓口はメーカー・代理店ごとに異なり、公表状況もSpotとは異なる場合があるため、本記事では具体的な金額を断定せず、各商品ページでの確認を案内します。
同じBoston Dynamics社の製品では、倉庫向けマニピュレーター「Stretch」、電動ヒューマノイド「Atlas Electric」、量産されずStretchに置き換わった「Handle」があります。いずれも用途がSpot(屋外巡回・点検)とは異なり、価格の公開状況についても本記事では個別に確認していません。
研究機関でのプラットフォーム利用という切り口では研究機関向けヒューマノイドプラットフォーム リース完全ガイド、リースと購入の判断軸全般についてはヒューマノイドロボット リース vs 購入 完全比較もあわせてご覧ください。
よくある質問
公式に確認できる月額相場は存在しません。米国Boston Dynamics公式サイトのSpot製品ページには価格情報が一切掲載されておらず「Contact Sales」のみで、日本国内で唯一の公式パートナーである東北エンタープライズ(TECO)公式サイトも価格を公表していません(2026年9月16日確認)。ネット上で見かける金額は公式の一次情報に基づくものではありません。
TECO公式FAQには「一部ネットに掲載されている800万のモデルは既に廃版になっております」と明記されています。古いモデルや海外の情報が誤って流通している可能性があり、月額のリース料金について公式な公表はありません。
TECO公式FAQでは「レンタルの対応はしておりません」と明記されています。短期間だけ試したい場合は、現地でのPoC(概念実証)について個別に問い合わせる形になります。
可能です。TECO公式FAQによれば、福島県いわき市の本社でデモンストレーションを受けられるほか、展示会・イベントにも出展しています。納入時には1〜3日程度の操作トレーニングも提供され、トレーニングのみの依頼も可能です。
検査業務への単純な導入だけでは、ものづくり補助金の主力枠(製品・サービス高付加価値化枠)は対象外になる可能性があります。公募要領には新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しないと明記されているためです。中小企業省力化投資補助金カタログ注文型では2024年12月12日からファイナンス・リース取引が対象に追加されましたが、対象はカタログ登録製品に限られ、Spot・Boston Dynamics・東北エンタープライズはいずれも製品カタログへの登録が確認できませんでした(2026年9月16日時点)。詳しくは事務局または東北エンタープライズへの相談時に確認してください。
同じ四足歩行ロボットとして、中国Unitree Robotics製のB2やGo2などが選択肢に挙がります。価格や貸出条件はメーカー・取扱代理店ごとに異なるため、各商品ページで最新情報を確認してください。
Spot以外の一般販売・リース状況は本記事の一次情報の範囲では確認できていません。Boston Dynamics公式サイトでもAtlas・Stretchの価格情報は非公開でContact Sales対応です。
まとめ
- Spotの価格・リース月額は米国Boston Dynamics公式・国内唯一の正規パートナーTECOのいずれも非公開(個別見積り)
- 「800万円モデル」等ネットに出回る金額はTECO公式FAQで廃版と明言されている旧モデル情報の可能性が高い
- TECO公式FAQでレンタル非対応と明記。短期検討はPoC相談が窓口
- 国内正規購入窓口はTECO1社。福島本社でのデモ・1〜3日の操作トレーニングに対応
- 省力化投資補助金カタログ注文型はファイナンス・リースが対象化されたが、Spotはカタログ未登録で対象外(2026年9月16日時点)
- ものづくり補助金は新製品・新サービス開発を伴う事業計画が前提。単純導入は対象外になり得る
- 国内導入事例はキリンビール北海道千歳工場(2025年8月運用開始、実名・日付付き公式プレスリリース)
正確な価格・リース可否・補助金の適用可能性は、いずれも個別の見積り・相談が前提です。まずは無料見積もりフォームから、自社の用途を伝えたうえで、TECOを含む取扱窓口に条件を確認することをおすすめします。
本記事の監修:齊木祐介(株式会社ASI 代表取締役)
AI・ロボティクスの導入支援やリース活用支援など複数事業を統括し、実務で得た知見をもとに本サイトの情報を監修しています(運営:株式会社ASI)。