ロボットの導入には数百万円から数千万円の投資が必要ですが、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用すれば、実質的な負担を大幅に軽減できます。本記事では、2026年現在ロボット導入やリース契約で活用できる主要な補助金・助成金を網羅的に解説します。ものづくり補助金、事業再構築補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金の4つの国の補助金に加え、東京都・大阪府・愛知県など自治体独自の支援制度、リース契約との併用ルール、採択率を上げる申請書の書き方まで、補助金活用に必要な情報をすべてカバーしています。
補助金・助成金の情報は2026年2月時点のものです。公募期間・補助率・上限額は年度や公募回によって変更される場合があります。最新情報は各補助金の公式サイトで必ずご確認ください。
ロボット導入に使える補助金の全体像
ロボット導入に活用できる補助金は、大きく「国の補助金」と「自治体の補助金」の2種類に分かれます。国の補助金は補助額が大きく全国で利用可能ですが、その分競争率が高く、申請書の作成にも手間がかかります。自治体の補助金は対象地域が限定される一方、採択率が比較的高い傾向があります。
| 補助金名 | 管轄 | 補助上限 | 補助率 | ロボットとの相性 |
|---|---|---|---|---|
| ものづくり補助金 | 中小企業庁 | 1,250万円〜 | 1/2〜2/3 | 非常に高い |
| 事業再構築補助金 | 中小企業庁 | 7,000万円〜 | 1/2〜3/4 | 高い |
| IT導入補助金 | 中小企業庁 | 450万円 | 1/2〜3/4 | 中程度(IT連携型) |
| 小規模事業者持続化補助金 | 商工会議所 | 200万円 | 2/3 | 中程度(小型ロボット) |
| 自治体独自補助金 | 各都道府県・市区町村 | 50〜1,000万円 | 1/3〜2/3 | 地域による |
補助金は基本的に「後払い(精算払い)」です。まず自社で設備投資を行い、事業完了後に補助金が交付されます。そのため、初期の資金調達手段としてリース契約と組み合わせることが有効です。
主要な国の補助金
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)
中小企業・小規模事業者が生産性向上のために行う設備投資を支援する、最も利用実績の多い補助金です。ロボット導入との相性が非常に高く、産業用ロボット、協働ロボット、AGVなど幅広いロボットが対象設備として認められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 通常枠:1,250万円(従業員規模により750万円〜)、省力化枠:1,000万〜8,000万円 |
| 補助率 | 中小企業:1/2、小規模事業者:2/3 |
| 対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費等 |
| 対象者 | 中小企業・小規模事業者(資本金3億円以下または従業員300人以下の製造業等) |
| 公募頻度 | 年2〜4回程度(通年公募に移行の可能性あり) |
| 採択率 | 約40〜60%(公募回により変動) |
ものづくり補助金の省力化枠(旧:省力化投資補助金)は、人手不足対策としてのロボット導入に特化した枠組みです。賃上げ要件を満たすことで補助率が引き上げられるケースもあります。申請にはGビズIDの取得(アカウント作成に2〜3週間)が必要なため、早めの準備が重要です。
事業再構築補助金
ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するため、新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編を行う中小企業を支援する補助金です。ロボットを活用した新たな生産体制の構築や、ロボットによる新サービスの立ち上げなど、事業構造の変革を伴うロボット導入が対象となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 成長枠:7,000万円(従業員101人以上)、グリーン枠:最大1.5億円 |
| 補助率 | 中小企業:1/2〜2/3、中堅企業:1/3〜1/2 |
| 対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費、広告宣伝費、研修費等 |
| 主要要件 | 事業計画の認定支援機関(銀行・税理士等)の確認、付加価値額の年平均成長率3〜5% |
| 採択率 | 約30〜50%(公募回・申請類型により変動) |
事業再構築補助金は補助上限額が大きいため、大規模なロボットシステムの導入に適しています。ただし「事業再構築」の要件を満たす必要があるため、既存事業の単なる効率化目的では採択が難しい点に注意が必要です。認定支援機関との連携が申請の必須条件です。
IT導入補助金
中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の費用を支援する補助金です。ロボット単体では対象外ですが、IoTプラットフォーム、クラウド管理システム、AIソフトウェアなどIT要素を含むロボットシステムであれば対象となる可能性があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 通常枠:150万円未満〜450万円、デジタル化基盤導入枠:最大350万円 |
| 補助率 | 通常枠:1/2、デジタル化基盤導入枠:2/3〜3/4 |
| 対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、導入関連費、ハードウェア購入費(一部枠) |
| 特徴 | IT導入支援事業者(ベンダー)が登録したITツールのみ対象。事前登録が必要。 |
| 採択率 | 約60〜80%(比較的高い) |
IT導入補助金はロボットのハードウェア単体では原則対象外ですが、ロボット制御ソフトウェア、遠隔監視システム、AI画像検査ソフトウェアなどのIT要素が含まれる場合は対象となります。採択率が比較的高いのが特長で、IT導入支援事業者が申請をサポートしてくれるため、補助金申請が初めての企業にも利用しやすい制度です。
小規模事業者持続化補助金
商工会議所・商工会の管轄地域の小規模事業者が、販路開拓や業務効率化に取り組む際の費用を支援する補助金です。補助上限額は他の補助金と比較して小さいですが、配膳ロボットや清掃ロボットなど比較的安価なロボットの導入に適しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 通常枠:50万円、特別枠(賃金引上げ枠等):200万円 |
| 補助率 | 2/3 |
| 対象者 | 商業・サービス業:従業員5人以下、製造業:従業員20人以下 |
| 対象経費 | 機械装置等費、広報費、展示会出展費、開発費、委託・外注費等 |
| 採択率 | 約50〜70% |
飲食店が配膳ロボット(購入価格150万円程度)を導入する場合、特別枠を利用すれば最大100万円(150万円 x 2/3)の補助が受けられます。申請は地元の商工会議所を通じて行うため、事前に相談しておくとスムーズです。
自治体独自の補助金
国の補助金に加え、各都道府県・市区町村が独自のロボット導入支援制度を設けています。国の補助金と併用できる場合もあるため、自社の所在地の自治体支援制度を必ず確認してください。以下に主要な自治体の支援制度を紹介します。
| 自治体 | 補助金名 | 補助上限 | 補助率 | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | ロボット導入・活用促進事業 | 1,000万円 | 1/2 | 都内中小企業。産業用・サービス用ロボットの導入費用。 |
| 大阪府 | 中小企業ロボット・IoT導入支援補助金 | 500万円 | 1/2 | 府内中小企業。ロボット・IoT機器の導入費、システム構築費。 |
| 愛知県 | ロボット産業活性化推進補助金 | 300万円 | 1/2 | 県内中小企業。ロボット導入費用、導入に伴うコンサルティング費用。 |
| 神奈川県 | ロボット導入支援補助金 | 500万円 | 1/2 | 県内中小企業。さがみロボット産業特区での導入は優遇あり。 |
| 福岡県 | ロボット・IoT導入促進補助金 | 300万円 | 1/3〜1/2 | 県内中小企業。北九州ロボットバレー連携の優遇あり。 |
自治体の補助金は公募期間が短い(1〜2か月程度)ことが多いため、日頃から自治体の産業振興課やロボット関連団体の情報を確認しておくことが重要です。中小企業支援機関(よろず支援拠点等)に相談すれば、自社が活用できる補助金の情報を効率的に収集できます。
リース契約と補助金の併用ルール
ロボットをリースで導入する場合でも補助金を活用できますが、購入の場合とは異なるルールが適用されます。補助金とリースの併用について正しく理解しておくことが重要です。
併用の基本パターン
- パターン1:補助金でリース料を補助 - 補助金がリース料の一部を直接補助する方式です。補助事業期間中のリース料(通常1年分)が補助対象となります。リース期間全体のリース料が補助されるわけではない点に注意してください。
- パターン2:補助金で購入し、リース会社に売却 - 自社で補助金を活用してロボットを購入し、その後リース会社にセール・アンド・リースバックする方式です。補助金の交付要件(財産処分制限等)を満たす必要があるため、事前にリース会社・補助金事務局の双方に確認が必要です。
- パターン3:リース会社が補助金を申請 - ものづくり補助金の一部の枠では、リース会社が共同申請者として補助金を申請し、補助金分をリース料から減額する方式が認められています。利用者の手続き負担が軽減されるメリットがあります。
併用時の注意点
- 財産処分制限:補助金で取得した設備は、補助事業期間終了後も一定期間(通常5年間)は処分(売却・リース・廃棄等)に制限がかかります。違反すると補助金の返還を求められます。
- 補助対象経費の範囲:リース契約の場合、補助対象となるのは「補助事業期間中のリース料」のみです。補助事業期間外のリース料は自己負担です。
- 圧縮記帳との関係:補助金で設備を購入した場合は圧縮記帳が可能ですが、リース取得の場合は適用できないケースがあります。税務処理については税理士にご確認ください。
- 補助金の二重受給禁止:同一の設備投資に対して、国の補助金を複数受給することはできません。ただし、国の補助金と自治体の補助金の併用は認められる場合があります。
補助金申請の流れ(5ステップ)
補助金の申請から交付までの一般的な流れを5ステップで解説します。申請準備から交付までは6〜12か月かかるため、余裕を持ったスケジュールで進めてください。
Step 1:公募情報の確認と準備(1〜2か月前)
補助金の公募開始前に、GビズIDの取得(アカウント作成に2〜3週間)、認定支援機関(銀行・税理士・中小企業診断士等)との連携、導入するロボットの見積書の取得を済ませておきます。公募開始後は締切までの期間が短い(1〜2か月)ため、事前準備が重要です。
Step 2:事業計画書の作成と申請(公募期間中)
補助金の申請書(事業計画書)を作成します。事業計画書には、現状の課題、ロボット導入による解決策、期待される効果(生産性向上率・売上増加額等)、実施スケジュール、資金計画を記載します。認定支援機関の確認書も添付します。電子申請システム(jGrants等)から申請を行います。
Step 3:審査・採択(申請後1〜3か月)
補助金事務局による書面審査が行われます。補助金によっては面接審査やプレゼンテーション審査がある場合もあります。採択結果は公式サイトで公表されます。不採択の場合は次回の公募に再申請できます。
Step 4:交付申請・補助事業の実施(採択後)
採択後、正式な「交付申請」を行います。交付決定通知を受領してから、ロボットの発注・契約・設置を行います。交付決定前に発注・契約した経費は補助対象外となるため、発注のタイミングには細心の注意を払ってください。補助事業期間中にロボットの導入・稼働までを完了させます。
Step 5:実績報告・補助金の受領(事業完了後)
補助事業の完了後、実績報告書を提出します。領収書・契約書・写真等の証拠書類を添付し、補助金の精算手続きを行います。事務局の確認が完了すると、補助金が交付(銀行振込)されます。交付までは実績報告後1〜3か月程度かかります。
採択率を上げる申請書の書き方
補助金の採択率を上げるには、審査員に「この事業は支援する価値がある」と納得させる申請書を作成する必要があります。以下の5つのポイントを押さえてください。
1. 定量的な数値目標を明記する
「生産性が向上する」という曖昧な記述ではなく、「ロボット導入により生産能力が月産1,000個から1,500個に50%向上し、売上が年間2,400万円増加する」のように具体的な数値で示します。現状の定量データ(作業時間、人件費、不良率)と導入後の改善予測を対比させることで、説得力が大幅に向上します。
2. 課題と解決策の論理的な整合性を確保する
「人手不足で生産が追いつかない」という課題に対して「協働ロボットで作業を自動化する」という解決策は論理的に整合しています。一方、「売上が伸びない」という課題に対して「産業用ロボットを導入する」では、なぜロボットが売上拡大につながるのかの説明が不足しています。課題→解決策→効果のストーリーが一貫していることが重要です。
3. 賃上げ計画を盛り込む
多くの補助金で「賃上げ要件」を満たすことで補助率の引き上げや加点が得られます。事業計画期間中の従業員の賃上げ計画(年率3%以上等)を具体的に記載し、ロボット導入による生産性向上が賃上げの原資になることを説明します。
4. 実現可能なスケジュールを提示する
過度に楽観的なスケジュールは審査員の信頼を損ないます。ロボットの選定・発注・製造・設置・試運転の各工程にかかる期間を現実的に見積もり、補助事業期間内に確実に完了できるスケジュールを提示します。リスク(納期遅延等)への対応策も記載すると評価が高まります。
5. 認定支援機関の知見を活用する
認定支援機関(税理士、中小企業診断士、銀行など)は補助金申請のノウハウを持っています。事業計画書の作成段階から連携し、審査のポイントを踏まえた申請書に仕上げます。認定支援機関の確認書が必須の補助金も多いため、早い段階で相談を始めてください。
補助金活用の成功事例3選
事例1:金属加工メーカー(従業員30名)/ ものづくり補助金活用
愛知県の金属加工メーカーが、溶接工程の自動化を目的にファナック製の産業用溶接ロボットをリースで導入しました。ものづくり補助金の省力化枠を活用し、ロボットシステム一式(本体・安全柵・ポジショナー・ティーチング費用)の総額1,200万円のうち、800万円(補助率2/3)の補助を受けました。
- 導入効果:溶接工程の作業時間が60%短縮、不良率が5%から0.8%に低下
- 人員配置の最適化:溶接担当の熟練工2名を品質管理と新製品開発に配置転換
- リース料:補助金を差し引いた400万円を5年リース(月額約8万円)
事例2:飲食チェーン(5店舗)/ 小規模事業者持続化補助金活用
東京都内の居酒屋チェーンが、慢性的な人手不足の解消を目的にPudu Robotics製の配膳ロボットを各店舗に導入しました。小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ枠(補助上限200万円)を活用し、1台目の導入費用120万円のうち80万円の補助を受けました。残りの4台はメーカーのサブスクリプションリース(月額3.5万円/台)で導入しています。
- 導入効果:ホールスタッフの歩行距離が40%減少、ピーク時の配膳待ち時間が半減
- 人件費削減:各店舗でホールスタッフを1名削減し、月額約80万円(5店舗合計)の人件費削減
- 顧客満足度:ロボット配膳が話題となりSNSでの露出が増加、新規来店客が15%増加
事例3:物流倉庫(従業員80名)/ 事業再構築補助金活用
大阪府の物流倉庫会社が、EC物流の急増に対応するため倉庫のロボット化を推進しました。事業再構築補助金の成長枠を活用し、AMR(自律走行搬送ロボット)10台とWMS(倉庫管理システム)の導入費用4,500万円のうち、2,250万円(補助率1/2)の補助を受けました。
- 導入効果:ピッキング効率が3倍に向上、出荷能力が日産2,000件から6,000件に拡大
- 新規事業:ロボット倉庫のノウハウを活かし、他社向けの3PL(サードパーティロジスティクス)サービスを開始
- 投資回収:補助金を除いた自己負担分2,250万円を、新規受注による売上増加で約18か月で回収
よくある質問
はい、多くの補助金でリース導入が対象です。ただし補助対象となるのは「補助事業期間中のリース料」のみで、リース期間全体のリース料が補助されるわけではありません。ものづくり補助金では、リース会社が共同申請者となる方式も認められています。
はい、次回以降の公募に再申請できます。不採択の場合は事業計画書の内容を改善して再チャレンジしてください。多くの採択者は2〜3回目の申請で採択されています。認定支援機関や補助金コンサルタントに申請書のレビューを依頼すると、改善点が明確になります。
補助金の種類にもよりますが、一般的に申請準備開始から補助金交付までは6〜12か月です。内訳は、準備期間1〜2か月、審査期間1〜3か月、補助事業実施期間3〜6か月、実績報告・精算1〜3か月が目安です。ロボットの導入スケジュールと合わせて逆算して計画してください。
同一の経費に対して国の補助金を二重に受給することはできませんが、国の補助金と自治体の補助金は併用できる場合があります。ただし自治体によっては「国の補助金との併用不可」と定めている場合もあるため、必ず各補助金の公募要領を確認してください。
認定支援機関(税理士、中小企業診断士等)や補助金コンサルタントに依頼する方法があります。費用は着手金5〜10万円+成功報酬(補助金額の5〜15%程度)が相場です。また、各地域のよろず支援拠点(中小企業庁所管)では無料で相談できます。商工会議所の経営指導員も申請サポートを行っています。
補助金で取得した設備には「財産処分制限」(通常5年間)があり、この期間中に売却・廃棄・リース変更等を行う場合は事前に補助金事務局の承認が必要です。無断で処分すると補助金の返還を求められる可能性があります。やむを得ず処分が必要な場合は、必ず事前に事務局に相談してください。
まとめ
ロボット導入の補助金・助成金を賢く活用することで、初期投資の負担を大幅に軽減し、リース料の実質コストを下げることができます。本記事の要点を振り返ります。
- ものづくり補助金は補助上限1,250万円〜、ロボットとの相性が最も高い
- 事業再構築補助金は大規模投資(上限7,000万円〜)向け。事業構造の変革が要件
- IT導入補助金はIT連携型ロボットに活用可。採択率が高く初心者向け
- 小規模事業者持続化補助金は配膳・清掃ロボットなど小規模投資に最適
- 自治体独自の補助金も必ずチェック。国の補助金と併用できるケースがある
- リース契約と補助金の併用は可能だが、補助対象期間や財産処分制限に注意
- 申請書は定量的な数値目標と論理的なストーリーで審査員を説得する
- 認定支援機関や商工会議所を活用し、採択率を高める
ロボットリースの見積もりを複数社から無料で一括取得できます。補助金活用のご相談も承ります。
無料で一括見積もりを依頼する