製造業の現場で深刻化する人手不足と品質向上の要求に応えるため、産業用ロボットの導入が加速しています。しかし、1台あたり数百万円から数千万円のロボットを一括購入するのは中小企業にとって大きな負担です。そこで注目されているのがリース契約による導入です。本記事では、産業用ロボットの種類別解説からリース料金の相場、実際の導入事例、主要メーカー比較、補助金活用まで、導入検討に必要な情報を体系的にまとめます。

産業用ロボットの種類と用途

産業用ロボットは用途によって大きく5つのカテゴリに分類されます。それぞれの特徴を理解した上で、自社の工程に最適な種類を選定することがリース導入成功の第一歩です。

1. 溶接ロボット

アーク溶接やスポット溶接を自動化するロボットです。自動車・造船・建設機械・鉄骨など、金属接合が必要な幅広い分野で使われています。人間が行う溶接作業は高温・ヒューム・紫外線にさらされる過酷な環境であり、労働者の確保が年々困難になっています。溶接ロボットの導入により、作業環境の改善と同時に溶接品質の均一化を実現できます。6軸多関節型が主流で、ティーチングプレイバック方式により複雑な溶接パスを正確に再現します。

購入価格は本体300万〜800万円、溶接電源やポジショナーなどの周辺機器を含めると500万〜1,500万円が相場です。リースの場合、5年契約で月額10万〜30万円程度になります。

2. 塗装ロボット

自動車ボディ、家電、家具など表面塗装の自動化に使われます。塗装工程は有機溶剤の吸引リスクや防爆環境の必要性から、人間が作業するには安全管理コストが高い工程です。塗装ロボットは防爆仕様で設計され、均一な膜厚と高い再現性を実現します。スプレーガンの角度・距離・速度を精密に制御することで、塗料の使用量を最大20%削減できた事例もあります。

防爆仕様のため本体価格がやや高く、購入価格は400万〜1,200万円が目安です。リース料は5年契約で月額8万〜25万円程度です。

3. 組立ロボット

電子部品の挿入、ネジ締め、圧入、はめ合いなど精密な組立作業を自動化します。電機・電子・自動車部品・医療機器の分野で多用されています。スカラ(SCARA)型ロボットや垂直多関節型が使われ、繰り返し位置精度は0.01mm以下のモデルもあります。ビジョンシステムと組み合わせることで、部品の位置・姿勢を画像認識し、微調整しながら組み立てを行う高度な自動化が可能です。

購入価格は200万〜700万円が一般的で、ビジョンシステムやフィーダーを含むとシステム全体で500万〜1,500万円になります。リースでは月額10万〜30万円が目安です。

4. 搬送ロボット(AGV / AMR)

工場内・倉庫内で材料や製品を自動搬送するロボットです。AGV(無人搬送車)は磁気テープや反射板に沿って決まったルートを走行するタイプ、AMR(自律移動ロボット)はLiDARやカメラで周囲を認識し、障害物を自動回避しながら目的地まで移動するタイプです。近年はAMRの普及が進み、レイアウト変更が多い現場でも柔軟に対応できる点が評価されています。

AGVは1台100万〜300万円、AMRは200万〜500万円が購入相場です。複数台導入が一般的で、5台セットのリースなら月額15万〜40万円程度になります。

5. 検査ロボット

外観検査・寸法検査・溶接品質検査など品質保証工程を自動化します。高解像度カメラ・3Dスキャナー・X線・超音波などのセンシング技術とAI画像解析を組み合わせ、人間の目視検査では見逃しやすい微細な欠陥を高精度で検出します。全数検査の自動化により、出荷不良率を大幅に低減できます。

検査装置を含むシステム全体で300万〜1,000万円が購入相場です。リースでは月額6万〜20万円程度です。

産業用ロボットのリース料金相場【種類別】

産業用ロボットのリース料金は、ロボットの種類・購入価格・リース期間・保守内容によって大きく異なります。以下の表は2026年現在の目安です。

ロボット種類 購入価格(システム込み) 月額リース料(5年) 月額リース料(7年)
溶接ロボット 500万〜1,500万円 10万〜30万円 8万〜22万円
塗装ロボット 400万〜1,200万円 8万〜25万円 6万〜18万円
組立ロボット 500万〜1,500万円 10万〜30万円 8万〜22万円
搬送ロボット(5台セット) 500万〜2,500万円 15万〜50万円 10万〜35万円
検査ロボット 300万〜1,000万円 6万〜20万円 5万〜15万円

※上記は目安です。メーカー・リース会社・保守内容により異なります。正確な金額は無料見積もりでご確認ください。

リース料に含まれるもの

リース料には一般的にロボット本体の購入代金に加え、リース会社の金利・利益・保険料が含まれます。フルメンテナンスリースの場合は定期点検・部品交換・故障対応の費用も月額に含まれます。ただし、以下の費用は別途発生するケースが多いため注意が必要です。

  • 設置工事費:基礎工事、電源工事、エア配管、安全柵設置など。50万〜200万円程度。
  • SIer(システムインテグレータ)費用:プログラミング、ティーチング、周辺機器との統合。100万〜500万円程度。
  • 教育・研修費:オペレーター研修、保全研修。10万〜50万円程度。
  • 消耗品費:溶接ワイヤー、塗料、グリッパーパッド等の消耗部品。

これらの費用をリース料に組み込める「パッケージリース」を提供するリース会社も増えています。導入にかかる総費用を月額に平準化できるため、資金計画が立てやすくなります。

産業用ロボットのリース導入事例5選

事例1:自動車部品メーカー(溶接ロボット)

従業員80名の自動車部品メーカーA社では、熟練溶接工の退職に伴い溶接工程がボトルネックとなっていました。ファナック製の溶接ロボット2台をリース導入(月額28万円/台、5年契約)した結果、溶接工程の生産性が40%向上。不良率も3.2%から0.8%に低下しました。初期費用を抑えられたことで、浮いた資金を検査装置の充実に投入できたことも大きなメリットでした。

事例2:食品包装メーカー(組立・パレタイジングロボット)

食品包装資材を製造するB社は、段ボールケースの組立と製品パレタイジングの自動化を目的に、川崎重工製のロボットを3台リース導入しました(月額合計45万円、7年契約)。24時間稼働が可能になり、夜間の人件費を年間約600万円削減。投資対効果(ROI)は導入2年目でプラスに転じました。

事例3:金属加工業(搬送AMR)

精密金属加工を行うC社では、工場内の材料・半製品の搬送に作業時間全体の20%を費やしていました。AMR5台のリースパッケージ(月額35万円、5年契約)を導入したところ、搬送時間が70%削減。作業者が加工作業に集中できるようになり、1人あたりの生産高が25%向上しました。レイアウト変更にも柔軟に対応でき、生産品目の切り替えもスムーズになりました。

事例4:電子部品メーカー(検査ロボット)

プリント基板実装を行うD社では、目視検査の精度ばらつきと検査員の確保が課題でした。AI画像検査ロボットをリース導入(月額18万円、5年契約)した結果、検査精度が99.5%に向上し、検査速度も3倍に。見逃し不良による顧客クレームがゼロになり、品質保証体制の強化が取引先からの評価向上にもつながりました。

事例5:化粧品メーカー(塗装ロボット)

化粧品容器の塗装を手作業で行っていたE社は、品質の均一化と有機溶剤への暴露対策のために塗装ロボットを導入しました(月額22万円、5年契約)。塗膜の均一性が向上し、塗料の使用量を15%削減。作業環境の改善により、採用難だった塗装工程の人材確保も容易になりました。

主要ロボットメーカー比較

産業用ロボットの国内市場では、日本メーカーが圧倒的なシェアを持っています。リースで導入する場合もメーカーの選定が重要です。主要メーカーの特徴を比較します。

メーカー 本社 強み 代表機種
ファナック(FANUC) 日本 産業用ロボット世界トップシェア。信頼性・保守性に優れ、グローバル展開も充実 M-20シリーズ、R-2000シリーズ
安川電機 日本 溶接・塗装・搬送に強み。MOTOMAN シリーズは世界累計60万台超の実績 MOTOMAN GP/ARシリーズ
川崎重工業 日本 大型ロボット・パレタイジングに強み。自動車・半導体分野で高シェア RSシリーズ、CPシリーズ
ABB スイス ソフトウェア(RobotStudio)の完成度が高い。塗装ロボットで世界トップクラス IRBシリーズ
KUKA ドイツ 自動車産業向けに強み。直感的なプログラミング環境が特長 KRシリーズ
デンソーウェーブ 日本 小型高速ロボットに強み。電子部品組立・検査で高精度を発揮 VSシリーズ、HSRシリーズ

メーカー選定のポイント

メーカー選定では、以下の5つの視点が重要です。

  • 用途との適合性:溶接なら安川・ファナック、塗装ならABB・安川、小型精密組立ならデンソーウェーブなど、用途ごとに得意なメーカーがあります。
  • 保守・サポート体制:故障時の対応速度は生産への影響が大きいため、国内のサービス拠点数と対応スピードを確認します。
  • SIerの対応状況:自社の近くにそのメーカーのロボットに対応できるSIerがいるかは重要な検討ポイントです。
  • プログラミングの容易さ:ロボットのティーチングや動作変更の容易さは、品目切り替えが多い現場では生産性に直結します。
  • リースプランの有無:一部メーカーは自社ファイナンスによるリースプランを提供しており、審査が柔軟なケースがあります。

産業用ロボットの選び方【5つのチェックポイント】

1. 可搬重量とリーチ

扱うワーク(対象物)の重量とロボットが届く範囲(リーチ)が最も基本的なスペックです。ワーク重量に対して余裕を持った可搬重量のモデルを選ぶことが重要です。一般的にはワーク重量の1.5〜2倍の可搬重量を推奨します。リーチはワークの配置や加工位置のレイアウトに合わせて選定します。

2. 繰り返し精度

同じ動作を繰り返したときのばらつきを示す指標です。電子部品の組立や精密検査では0.02mm以下が求められる一方、パレタイジングや溶接では0.1mm程度で十分な場合もあります。用途に応じた精度のロボットを選ぶことでオーバースペックを避け、リース料を最適化できます。

3. 軸数と動作自由度

産業用ロボットは4軸〜7軸のモデルがあります。6軸多関節型は3次元空間で任意の姿勢を取ることができ、溶接・塗装・バリ取りなど複雑な動作が可能です。4軸スカラ型は平面内の高速移動に優れ、ピック&プレース・ネジ締めに適しています。7軸型は人間の腕に近い自由度で、狭いスペースでの作業や障害物回避に優れています。

4. 設置環境への適合性

食品工場ではクリーンルーム仕様やIP67等の防水防塵性能が必要です。塗装工程では防爆仕様が必須です。溶接ではスパッターへの耐性、鋳造現場では高温環境への耐性が求められます。設置環境に合った仕様を選ばないと故障リスクが高まり、リース期間中のトラブルにつながります。

5. 将来の拡張性

生産品目の変更や増産計画を見据え、プログラムの変更容易性や周辺機器(ビジョンシステム、力覚センサー等)の拡張性を確認します。リース期間中に用途変更の可能性がある場合は、汎用性の高いモデルを選んでおくと柔軟に対応できます。

産業用ロボットリースに活用できる補助金

産業用ロボットの導入に活用できる主な補助金・助成金を紹介します。リースとの組み合わせが認められる制度も増えており、実質的な負担を大幅に軽減できます。

  • ものづくり補助金:中小企業の設備投資を支援。補助率1/2〜2/3、最大3,000万円。ロボット本体だけでなくシステム構築費も対象になります。
  • 省力化投資補助金:人手不足対応のための省力化設備投資を支援。カタログ掲載製品が対象。最大1,500万円。
  • 事業再構築補助金:事業転換・業態変更を伴う大型投資を支援。最大1.5億円。
  • 自治体独自の補助金:各都道府県・市区町村が設備投資やロボット導入に対する独自の補助制度を設けています。

補助金の詳細についてはロボットリースで使える補助金一覧もあわせてご確認ください。

リースと購入、どちらが有利か【シミュレーション】

購入価格800万円の溶接ロボットを例に、リースと購入のコスト比較をシミュレーションします。

比較項目 リース(5年) 一括購入
初期費用 0円(初月リース料のみ) 800万円
月額費用 16万円/月 0円(保守費別途)
5年間総支払額 960万円 800万円 + 保守約200万円 = 約1,000万円
税務処理 リース料全額を経費計上 減価償却(耐用年数10年)
5年後の残存価値 返却・再リース・買取を選択 帳簿価額400万円(中古売却可)
資金拘束 なし(月々払い) 800万円が固定資産に

単純な総支払額ではリースがやや不利に見えますが、初期資金の拘束がない点、経費計上による節税効果、保守込みプランを選べば追加出費が平準化される点を総合すると、資金力に制約がある中小企業ではリースが有利になるケースが多いといえます。

産業用ロボットリース導入の流れ

産業用ロボットのリース導入は、一般的に以下のステップで進みます。

  1. 自動化ニーズの整理:どの工程を自動化するか、目標とする生産性・品質を明確化する
  2. ロボット・SIerの選定:メーカー・SIerに相談し、最適なロボットとシステム構成を決定する
  3. リース会社への見積もり依頼:同一条件で3社以上に見積もりを取り、リース料率・サービスを比較する
  4. 審査・契約:リース会社の審査(通常1〜2週間)を経て契約を締結する
  5. 設置・ティーチング・試運転:SIerが現場にロボットを設置し、動作プログラムを作成・調整する
  6. 本稼働:安全確認を完了し、本格的な運用を開始する
  7. 定期点検・保守:リース期間中の保守計画に基づき、予防保全を実施する

導入検討から本稼働までの期間は、ロボットの種類やシステムの複雑さによりますが、一般的に3〜6か月程度です。詳しい各ステップの解説はロボットリースの導入から契約終了までの流れをご参照ください。

まとめ

産業用ロボットのリース導入は、初期費用を抑えながら製造現場の自動化を実現するための有効な手段です。本記事のポイントを振り返ります。

  • 産業用ロボットは溶接・塗装・組立・搬送・検査の5種類に大別され、用途に応じた選定が必要
  • リース料金の相場は月額10万〜50万円(5年契約、システム込み)
  • 導入事例では、生産性向上40%、不良率低減、人件費削減600万円/年といった成果が報告されている
  • メーカー選定では用途適合性・保守体制・SIer対応・プログラミング容易性を重視
  • ものづくり補助金・省力化投資補助金など公的支援の活用でリース料の実質負担を軽減可能
  • 複数のリース会社から見積もりを取得し、条件を比較することが重要

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